頑張りに​頼る​組織は、​頑張れない​日に​崩れる

小林顕人株式会社Hau'oli growth 代表

俺、昔はチェーン店でご飯を食べるのって、あんまり好きじゃなかったんだよね。

どこに行っても同じ味。

どこに行っても同じメニュー。

どこに行っても同じような接客。

なんか、面白みがないなって。

どうせ外食するなら、

そのお店にしかないものを食べたいし、

その人にしかできない料理や接客を楽しみたい。

そんな感覚だった。

でも最近、

自分でも店舗ビジネスに関わるようになって、

ちょっと見方が変わったんだよね。

もちろん、店舗ビジネスでは俺もまだまだ末席。

知らないことも多い。

だからこそ、

最近チェーン店へ行った時、

今まで気にしていなかったところが、

やたら気になった。

店員さんがどう動いているのか。

何時にトイレを点検したのか。

どんな機械を使っているのか。

どうやってお店を回しているのか。

そんなことを見ていたら、

今まで「面白みがない」と思っていたことが、

ものすごく難しいことに見えてきた。

だってさ。

いつ行っても、どこに行っても、だいたい期待したものが出てくる。

これって、

めちゃくちゃすごいことじゃない?

俺、最近こう思うようになったんだよね。

「無難」って、ものすごい企業努力の上に成り立ってるんだな。

って。

「いつも同じ」って、そんなに簡単なことじゃない

例えば、

よく行くチェーン店があるとする。

今日、大阪で食べた。

次は東京で食べた。

その次は、全然違う場所で食べた。

もちろん、店舗ごとに多少の違いはあると思う。

でも、基本的には、

自分が期待していた味やサービスが出てくる。

だから、

安心して入れる。

知らない土地でも、

「ここなら、だいたいこんな感じだよね」

って想像できる。

でもこれ、

経営する側になって考えると、

全然当たり前じゃない。

お店が違う。

設備が違う。

働いている人が違う。

経験年数も違う。

店長も違う。

忙しさだって違う。

それなのに、

お客さんが期待するものを、

毎日、提供し続けている。

一店舗で一回、

おいしい料理を出すことも簡単じゃない。

でも、

何店舗もあって、

何人ものスタッフが働いていて、

それぞれ違う日に、

同じ水準のものを出し続ける。

これって、

料理を一回おいしく作る能力とは、

また違う能力が必要なんじゃないかな。

一回すごいものを作ることと、いつも期待を裏切らないことは、別の難しさがある。

俺は、

そこに気づいたんだよね。

でも、その日のスタッフ全員が絶好調なわけじゃない

ここが、

今回一番考えさせられたところ。

チェーン店で働いている人たちだって、

普通に生活してるじゃん。

もちろん、

仕事に来る前に何があったかなんて、

お客さんには分からない。

でも、

例えば、

昨日、恋人と別れた人がいるかもしれない。

朝、子どもとケンカして、

ちょっと落ち込んでいる人がいるかもしれない。

体調が万全じゃない日もあるだろうし、

何か嫌なことがあった人だっていると思う。

毎日、

全員が100点の気分で働いているなんて、

そんなことないよね。

でも、

お客さんはそんな事情を知らない。

今日、その店に行って、

いつもの料理を注文する。

そして、

いつもの味が出てくることを期待している。

もちろん、

チェーン店だってミスはあるだろうし、

いつでも完璧というわけじゃない。

でも、

一人ひとりのコンディションが違う中で、

一定の品質を守り続けようとしている。

ここがすごい。

だって、

その日のスタッフの調子に、商品の品質を全部任せていない

ってことだから。

「今日はちょっと元気が出なくて」

「昨日いろいろあって」

そういうことは、

人間なんだからある。

でも、

お客さんが注文した料理の価値は、

その事情によって変わっていいわけじゃない。

だから、

人間にはいろんな日があることを前提に、

仕事の品質を守る仕組みを作っている。

俺は、

そのこと自体に感動してしまったんだよね。

トイレの点検記録って、地味だけどすごくない?

例えば、

トイレの点検。

何時にチェックしたのか。

誰が確認したのか。

そんな記録が残っている。

昔の俺だったら、

多分あまり気にしてなかったと思う。

でも、

店舗を運営する側の目線で考えると、

これって結構すごい。

なぜなら、

トイレがきれいなことを、

誰かの気配りだけに任せていないから。

めちゃくちゃ気が利くスタッフがいたら、

汚れにすぐ気づくかもしれない。

でも、

その人が休みの日は?

忙しくて見に行けない日は?

新人さんしかいない日は?

「誰かが気づいてくれるはず」

だと、

品質が安定しない。

だから、

点検するタイミングを決める。

確認する場所を決める。

必要な対応も決める。

その結果、

特別に気が利く人がいなくても、

きれいな状態を維持しやすくなる。

もちろん、

チェック欄に印をつけるだけで、

実際には何も見ていなかったら意味がない。

点検すること自体がGoalじゃない。

お客さんがいつ来ても、安心して使える状態を守ることがGoal。

そこまで含めて仕組みなんだと思う。

機械だって同じ。

人によってバラつきやすい作業を、

設備で安定させられるなら、

その方がいい部分もある。

もちろん、

機械を入れたら全部解決するわけじゃない。

使い方を覚える必要もあるし、

故障した時の対応も必要。

でも、

人の経験や勘だけに頼っていた部分を、

設備や手順で支えられる。

そうやって、

一つひとつの小さなバラつきを減らしているんだろうな、

って思った。

しかもこれ、

お客さんからすると、

ほとんど見えない企業努力なんだよね。

「無難」が商品価値になるって、面白いよね

俺、ここに一番大きな発見があった。

無難って、

あんまり褒め言葉として使わないじゃん。

普通。

特徴がない。

面白みがない。

そんな印象もあると思う。

でも、

外食で考えてみると、

無難であること自体に、

価値があるんだよね。

例えば、

知らない土地で、

あんまり時間がない。

お腹は空いてる。

でも、

お店選びに失敗したくない。

そんな時、

いつものチェーン店があったら、

ちょっと安心するじゃん。

すごく感動する料理が出てくるとは、

思っていないかもしれない。

でも、

自分が期待したものが出てくる。

その安心感がある。

これ、

期待値を上回る価値とは別に、期待値を裏切らない価値がある

ってことだと思うんだよね。

どちらも、

お客さんにとっての価値。

しかも、

無難を維持することって、

一度だけ大成功することとは違う。

今日も守る。

明日も守る。

来週も守る。

別の店舗でも守る。

違うスタッフでも守る。

ずっと積み上げていく必要がある。

「無難」は、努力していない結果じゃない。

膨大な努力を、お客さんに意識させなくなった結果なのかもしれない。

ここ、

俺の中では結構大きな発見だった。

じゃあ、スーパースターはいらないの?

いや、

全然そんなことない。

俺、属人性ってすごく好きなんだよね。

この人がいるから行きたい。

この人の料理だから食べたい。

この人と話したい。

この人にお願いしたい。

こういう価値って、

めちゃくちゃ素敵だと思う。

人にしか出せない魅力って、

絶対にある。

だから、

属人性をなくしたいわけじゃない。

むしろ、

そういう強みは磨いた方がいいと思ってる。

ただ、

チェーン店を見ていて面白いと思ったのは、

中にはスーパースターがいるのに、外からは見えにくいこともある

ってところ。

すごく気が利く人。

調理がめちゃくちゃ上手な人。

新人に教えるのが得意な人。

お店の問題を見つけるのが早い人。

きっと、

いろんな強みを持った人がいると思う。

でも、

お客さんは、

必ずしもその違いに気づかない。

なぜなら、

誰が担当しても、

一定の品質でサービスが提供されるように作られているから。

これ、

俺はすごいことだと思う。

ただし、

そこには難しさもある。

優秀な人が見えにくいなら、

会社の中では、

ちゃんとその貢献を見つけないといけない。

誰が品質を守っているのか。

誰が問題を未然に防いでいるのか。

誰が周りのスタッフを助けているのか。

そこまで見ないと、

スーパースターの価値が埋もれてしまうかもしれない。

つまり、

顧客に対して品質を安定させることと、社内で人の強みを正しく評価することは、両立させなきゃいけない。

ここも大事なんだと思う。

俺が目指したいのは、スーパースターが毎日穴埋めする会社じゃない

これを会社の仕事に置き換えると、

結構いろんなことが見えてくる。

例えば、

いつも気が利くスタッフがいる。

その人が、

顧客対応の漏れを見つけてくれる。

数字の異常にも気づいてくれる。

みんなが忘れていることを思い出してくれる。

だから、

会社は問題なく回っている。

ありがたい存在だよね。

でも、

その人が休んだ途端に、

顧客への連絡が止まる。

重要な数字の変化を誰も見つけられない。

次に何をすればいいか分からない。

もしそうなら、

そのスーパースターは、

自分の能力を発揮しているというより、

会社の仕組みに空いている穴を、毎日自分の頑張りで埋めている

のかもしれない。

これって、

結構もったいないと思う。

本当はもっと難しい仕事ができるかもしれない。

新しい仕組みを考えられるかもしれない。

仲間を育てられるかもしれない。

それなのに、

毎日同じ確認やフォローで時間が消えていく。

だから俺は、

スーパースターがいなくても守れる部分は、

仕組みで守りたい。

その上で、

スーパースターにしかできない価値を、

もっと発揮してほしい。

前に、

「魔法使いを戦士に育てようとしてない?」

って書いた。

あれは、

人それぞれの強みを磨いていきたい、

という話。

今回もそこにつながる。

普通の品質を守るために、みんなをスーパースターにする必要はない。

でも、

スーパースターになれる強みを持っている人は、

ちゃんと伸ばしていきたい。

そういうことなんだよね。

仕組みって、マニュアルを作ることじゃない

じゃあ、

チェーン店みたいな安定した品質を作りたいと思った時、

何から始めればいいんだろう。

とりあえずマニュアルを書く?

チェックリストを増やす?

研修をする?

もちろん、

必要なこともある。

でも、

俺だったらその前に、

一つ聞きたい。

お客さんは、この会社に何を期待しているんだっけ?

例えば飲食店なら、

注文した料理が提供される。

期待した味で食べられる。

店内が安心して利用できる状態になっている。

こういうものがある。

じゃあ、

その期待を守るために、

何が起きていないといけない?

食材は揃っている?

調理方法は共有されている?

設備は正常に動いている?

店内の衛生状態は確認できる?

担当者が急に休んだらどうする?

問題が起きた時、

誰が判断する?

こうやって考えていく。

つまり、

お客さんとの約束から逆算して、必要な仕事を決める。

ここが最初なんだと思う。

そして、

その仕事を、

人の記憶だけに頼らなくても実行できる状態へ近づけていく。

ここまでが、

仕組みの設計。

ただし、

仕組みを作っただけで安心しない。

実際に使われているか。

忙しい日にも機能するか。

問題が起きた時に気づけるか。

そこまで確認しないと、

本当に品質を守れているかは分からない。

でも、チェックするための仕事ばかり増やしたくない

ここは、

前にも書いたことにつながる。

「便利な管理画面のために、入力の仕事を増やしてない?」

という話。

品質を守りたいから、

チェック項目を増やす。

管理する項目を増やす。

報告も増やす。

それで、

現場がもっと忙しくなってしまったら?

結局、

仕組みを守るために、

また人が頑張らないといけない。

それだと、

本末転倒じゃないかな。

例えば、

トイレを点検するなら、

点検したという記録を残すことには意味がある。

でも、

同じ記録を紙に書いて、

あとから別のシステムにも入力して、

さらに管理者へ報告する。

そこまで全部必要なのかな。

って考えたい。

必要な証跡は残す。

でも、

同じ情報を何回も作らせない。

日常の仕事の中で、

自然に品質を確認できる。

異常があった時だけ、

必要な人へ伝わる。

そんな設計にできたら、

仕組みはもっと強くなると思う。

品質を守ることと、管理作業を増やすことは、同じじゃない。

ここを間違えたくないんだよね。

「今日は調子が悪い」があってもいい会社

人って、

毎日同じコンディションじゃない。

それは、

経営者でも同じ。

めちゃくちゃ集中できる日もある。

考えがまとまらない日もある。

元気が出ない日だってある。

もちろん、

プロとして果たすべき責任はある。

でも、

毎日みんなが100点のコンディションでいることを前提に、

会社を設計してしまったら?

誰かが一日休むだけで、

品質が崩れる。

特定の人が忙しくなるだけで、

対応が遅れる。

それって、

組織としてはかなり不安定だよね。

だから、

人が頑張れない日があることを、例外扱いしない。

その上で、

お客さんとの最低限の約束を守れるようにする。

一方で、

仕組みだけでは対応できないこともある。

想定していなかったトラブル。

いつもと違う顧客の相談。

マニュアルにない判断。

そんな時は、

人間が考える必要がある。

だから、

全員をマニュアル通りに動かすことがGoalじゃない。

普段の品質は、

できるだけ仕組みで守る。

その上で、

人が本当に考えるべき問題へ、

能力を使えるようにする。

俺は、

そういう組織にしたい。

「無難」を守れるからこそ、感動を作れるんじゃないかな

今回、

チェーン店を見ていて、

俺の中で一つ考え方が変わった。

昔は、

個人店の方が面白いと思っていた。

この人にしか作れない味。

この店にしかない空気。

そういうものに魅力を感じていた。

今も、

その気持ちは変わってない。

でも、

誰が働いていても、

どこに店舗があっても、

期待したものを安定して提供できる。

その仕組みも、

同じくらいすごいと思うようになった。

そして、

この二つは、

どちらかを選ばなきゃいけないものでもないんだよね。

仕組みで安心感を作る。

人の強みで感動を作る。

そう考えたら、

かなり面白くない?

お客さんが期待している最低限の品質は、

誰かの気合いだけに頼らない。

その上で、

素晴らしいスタッフが、

その人にしかできない価値を届ける。

そして、

その人がいなくても、

お客さんとの基本的な約束は守られる。

俺は、

こんな組織を作れたら、

かなり強いと思う。

頑張りに頼る組織は、頑張れない日に崩れる

チェーン店って、

どこに行っても同じ。

昔の俺は、

そこにあまり魅力を感じなかった。

でも、

今はちょっと違う。

どこに行っても、

いつもの味がある。

知らない場所でも、

安心して入れる。

誰が働いているか分からなくても、

期待したものが出てくる。

その裏側には、

どれだけの工夫と努力があるんだろう。

どれだけの失敗があって、

どれだけ改善して、

今の仕組みになったんだろう。

そう考えると、

「無難」って、

全然つまらないものじゃない。

むしろ、

お客さんに企業努力を意識させないくらい、仕組みが磨かれている状態

なのかもしれない。

そして俺は、

そんな仕組みを作れる会社って、

めちゃくちゃすごいと思うようになった。

人には、

頑張れる日も、

頑張れない日もある。

でも、

その日のコンディションに関係なく、

顧客との約束を守れる会社にしたい。

もちろん、

人の強みも大切にしたい。

スーパースターが生み出す感動も、

なくしたくない。

だからこそ、

その能力を、

毎日の穴埋めに使い続けたくないんだよね。

無難を仕組みで守れるからこそ、人は無難を超える仕事に挑戦できる。

そう考えると、

俺がチェーン店で感じたあの安心感って、

実はものすごく高度な価値だったんだなと思う。

昔は、

面白みがないと思っていた。

でも今は、

あの「いつも同じ」を見ると、

ちょっと感動してしまう。

店舗ビジネスの末席に座って、

また一つ、

今まで見えていなかったものが見えるようになった。

無難という期待値を、裏切らない。

これを当たり前にできる会社って、

本当にすごいよね。

読んでいて、​自社の​状況が​浮かんだなら。

何が​問題か、​まだ​整理できていなくても​大丈夫です。​現在地を​整理する​ところから、​一緒に​考えます。

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