商圏って、​地図に​丸を​描いたら​終わりじゃない

小林顕人株式会社Hau'oli growth 代表

店舗の広告を考える時、

「半径何kmで配信しますか?」

って話になることがある。

2km。

3km。

5km。

地図上で店舗を中心に丸を描く。

これ自体は全然悪くない。

俺らも普通に使う。

分かりやすいし、

Meta広告でも距離を使って考える場面はある。

ただ、

一個だけ注意した方がいい。

人って、円形に移動してないんだよね。


大阪とか、結構分かりやすいと思う。

御堂筋線って縦に通ってるじゃん。

電車で移動する人の生活動線を考えた時、

店舗を中心に綺麗な円形で人が動くというより、

路線に沿って縦に動く人が出てくる。

そうすると、

同じ3kmでも、

横方向の3kmより、

路線でスッと来られる縦方向の方が、

実際には来店しやすいことがある。

つまり商圏って、

コンパスで描いた丸とは限らない。

人がどう動いているかによって、伸びたり、縮んだり、歪んだりする。


3km離れてる人と、3km離れてる人は同じじゃない

地図だけ見ると、

どっちも店舗から3km。

でも、

一人は電車一本。

一人は乗り換えが必要。

一人は幹線道路を真っ直ぐ。

一人は渋滞する道を何本も曲がる。

一人は通勤で毎日店舗の近くを通る。

一人は普段まったく逆方向へ生活している。

距離は一緒。

でも、

来店のしやすさは全然違う。

だから俺は、

「店舗から何kmです」

だけで商圏を判断するのは、

ちょっと雑だと思ってる。


近いかじゃなく、自然に来られるか

商圏を見る時に、

俺らが考えたいのは、

誰が、その店舗へ自然に来られるか。

ここ。

例えば、

家から店舗まで4kmある。

でも毎日通勤で店舗の最寄駅を使うなら、

その人にとって店舗は結構近いかもしれない。

逆に、

直線距離では1.5kmしか離れてない。

でも大きな川がある。

橋が遠い。

線路を越えないといけない。

道路が混む。

普段その方向へ行かない。

だったら、

心理的には遠い。

地図上の距離と、

人間が感じる距離って、

結構違う。


車の商圏なら、また形が変わる

車社会のエリアなら、

鉄道とは見方が変わる。

今度は道路。

どの幹線道路を使うのか。

店舗に入りやすいのか。

反対車線から入れるのか。

中央分離帯はあるのか。

渋滞するのか。

駐車場は入りやすいのか。

こういうものが効いてくる。

例えば地図上では4kmあるけど、

幹線道路一本で8分。

一方は2kmしかないけど、

混んでて15分。

こういうことも普通に起こる。

だったら、

近い方が必ず強いとは言えない。


人は普段、どっちに向かって動いてる?

もう一個見るのが、

人流の方向。

例えば、

郊外から街中へ、

仕事や学校や買い物で移動する人は多い。

だったら、

その移動方向にある店舗は、

比較的来店候補になりやすいかもしれない。

でも逆に、

仕事が終わった後、

わざわざ生活動線と反対方向へ行かないといけない店だったら、

同じ距離でもハードルが上がる。

俺はこれ、

結構重要だと思ってる。

広告を配信できる。

人口もいる。

推定オーディエンスも大きい。

だから商圏。

ではない。

その人たちは、本当にこの店の方向へ動く人なのか。

ここまで見ないと、

ただ表示回数が増えるだけになる可能性がある。


商圏は、人口の円じゃない

商圏を見る時に、

人口ってもちろん大事。

人がゼロなら商売にならない。

Metaの推定オーディエンスも見る。

ただ、

母数が大きいことと、

来店可能な人が多いことは別。

10万人いるエリアでも、

生活動線が逆。

アクセスが悪い。

途中に強い競合がいる。

だったら、

その10万人全部が同じ価値を持つわけじゃない。

逆に人口はそこまで大きくなくても、

店舗方向への人流が強い。

アクセスが自然。

生活圏が重なっている。

そういうエリアなら、

広告では強いかもしれない。

俺らが見たいのは、

単なる人口じゃなく、

来店可能性のある人口。


だから、最初に丸を描くのはいい

ここまで言うと、

「じゃあ半径指定は意味ないんですか?」

って話になりそうだけど、

そんなことはない。

最初に丸を描くのはいい。

むしろ分かりやすい。

ただ、

丸を答えにしない。

半径3kmを描いた。

じゃあ、

この3kmの中で、

どっち方向が強そう?

駅はどこ?

路線はどう走ってる?

主要道路は?

川は?

生活圏は?

人はどっちへ動いてる?

競合はどこ?

って見ていく。

そこで初めて、

丸が商圏っぽい形になってくる。


既存店なら、答えはもっと現実にある

すでに営業してる店舗なら、

地図だけで考え続ける必要もない。

実際に、

どこから予約が来てるのか。

どこから来店してるのか。

エリアを変えたらCPAやCVRはどう変わったのか。

そこを見る。

例えば、

店舗から北側の4kmは普通に取れているのに、

南側は2kmでも全然取れない。

そういう実績が出たら、

「一般的には半径3kmです」

より、

実際の結果の方が強い。

商圏の仮説を作るために地図を見る。

そして、

広告と来店結果で答え合わせする。

これ、俺が前に書いた「正解なんて出てねぇよ。やっと始まったんだよ」と同じで、

最初の設定は答えじゃない。

現実を見て更新していく。

その繰り返し。

ちなみにCPAが変わった時も、それだけで原因を決めない。

「CPA上がったから広告変える、って雑すぎる」でも書いたけど、

数字は結果だから。


俺は商圏って、

店舗の周りに丸を描くことじゃなくて、

人が普段どう動いていて、その動きの中に店舗が入れる範囲

だと思ってる。

だから同じ店舗でも、

鉄道なら縦長になるかもしれない。

道路に沿って横へ伸びるかもしれない。

川で片側だけ短くなるかもしれない。

都心側へ大きく伸びて、

郊外側は短くなるかもしれない。

綺麗な円じゃない方が、

むしろ自然だったりする。


商圏を考える時、

「半径何km?」

から始めるのはいい。

でも、

そこで終わらない。

その次に見る。

その範囲の人は、普段どっちに動いてる?

そこまで見た時、

地図に描いたただの丸が、

本当の商圏に近づいていく。

商圏は、地図に描くものじゃなくて、人の生活の上にできるものだと思う。

読んでいて、​自社の​状況が​浮かんだなら。

何が​問題か、​まだ​整理できていなくても​大丈夫です。​現在地を​整理する​ところから、​一緒に​考えます。

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