その​言葉、​本当に​お客さんが​言った?

小林顕人株式会社Hau'oli Growth 代表

俺、クライアントさんに結構言うんだよね。

「接客のボイスください」

って。

文字起こしじゃなくてもいい。

まず録音データが欲しい。

でも、これがなかなか集まらない。笑

で、

「お客さん、何て言ってました?」

って聞くと、

スタッフさんが、

「こんな感じのこと言ってました」

って教えてくれる。

もちろん、

それもめちゃくちゃありがたい。

でも俺、

実際のボイスを聞いてみると、

結構思うことがある。

あれ?お客さん、その言葉使ってないな。

って。

スタッフさんが嘘ついてるわけじゃない。

むしろ逆。

俺に分かりやすく伝えようとして、

自然に言葉を整理してくれてる。

でも、

そこで一個問題が起きる。

意味は同じでも、言葉が変わってる。

俺のFIRST ANSWERを先に言うと、

マーケティングに使う顧客の声は、要約だけじゃ足りない。

本人が、

どんな単語を選んだのか。

どんな順番で話したのか。

どんな感情を、どんな日本語にしたのか。

そこまで含めて、

俺は顧客の声だと思ってる。


スタッフさんは、自然に「翻訳」してくれてる

例えば、

お客さんが接客中に、

「朝起きた瞬間に、また今日も腰痛いのかって思うのが本当に嫌なんですよね」

って言ったとする。

スタッフさんに、

「この人、何に悩んでました?」

って聞いたら、

多分、

「慢性的な腰痛に悩まれてます」

みたいに返ってくることがある。

これ、

間違ってないんだよね。

むしろ情報としては、

めちゃくちゃ整理されてる。

短いし、

分かりやすい。

社内共有なら、

こっちの方が便利なこともある。

でも、

広告を作る時は話が変わる。

「慢性的な腰痛にお悩みの方へ」

と、

「朝起きた瞬間、“今日も腰痛いのか…”って思ってませんか?」

って、

全然違うじゃん。

同じ腰痛の話なんだけど、

後者には、

その人が実際に生活の中で感じてることが入ってる。

ここがめちゃくちゃ大事だと思ってる。


意味を残しても、感情が消えることがある

人って、

誰かに話を伝える時、

自然に要約するじゃん。

長かった話を短くする。

分かりにくい表現を分かりやすくする。

バラバラだった話を整理する。

普通のこと。

だから、

スタッフさんが悪いわけじゃない。

ただ、

要約する時って、

意味は残っても、感情が落ちることがある。

「人前で笑う時、口元を手で隠す癖がついちゃって」

が、

「歯並びが気になっている」

になる。

「鏡見るたびに、なんか老けたなって思うんですよね」

が、

「美容面で悩まれている」

になる。

「子どもに一緒に走ろうって言われても、最近断ることが増えた」

が、

「膝の痛みで運動に支障がある」

になる。

情報としては正しい。

でも、

その人が何を失ってると感じてるのか

が消えてる。

俺が知りたいのって、

そこなんだよね。


顧客は、マーケターの言葉では悩んでない

提供する側って、

どうしても専門用語を使う。

腰痛。

肩こり。

姿勢改善。

リフトアップ。

フェイスライン。

業務効率化。

生産性。

組織課題。

全部、

整理するには便利な言葉。

でも、

お客さん本人が、

頭の中で同じ言葉を使ってるとは限らない。

むしろ、

使ってないことの方が多いんじゃないかな。

例えば、

「業務効率を改善したい」

と思ってる経営者より、

「俺が全部確認しないと進まないの、もうキツい」

と思ってる人の方が自然かもしれない。

「姿勢改善したい」

より、

「写真撮られた時の自分の猫背が嫌」

かもしれない。

「肩こりを改善したい」

より、

「夕方になると頭まで重くなって仕事に集中できない」

かもしれない。

だったら、

マーケティング側が先に綺麗な言葉へ変換しすぎると、

ユーザーが実際に感じてる世界から、

どんどん離れていく。


だから俺は、ボイスが欲しい

俺が、

「接客のボイスください」

って何回も言うのは、

スタッフさんの報告を信用してないからじゃない。

用途が違うから。

スタッフさんから、

「この人は何に悩んでた?」

を知りたい時は、

要約で十分なこともある。

でも、

広告を作りたい。

LPを作りたい。

商品を考えたい。

訴求を考えたい。

ってなったら、

俺は生の声を聞きたい。

何て言った?

その前に何を話してた?

どういう表現をした?

どこで声のトーンが変わった?

何を何回も繰り返した?

本人が一番長く話したのはどこ?

そこに、

数字だけじゃ取れない情報がめちゃくちゃ入ってると思ってる。


「何に悩んでますか?」より、話し方そのものを見る

顧客インタビューやアンケートって、

もちろん大事。

でも、

「あなたの悩みは何ですか?」

って聞いたら、

相手も結構、

綺麗に答えようとするじゃん。

「肩こりです」

「集客です」

「売上です」

みたいに。

でも、

普通の接客の中で自然に出てくる言葉って、

もう少し生々しい。

前後の文脈もある。

迷いもある。

矛盾もある。

感情もある。

だから、

俺は答えそのものだけじゃなくて、

どうやってその答えに辿り着いたか

まで聞きたい。

「あの……別に痛いのは我慢できるんですけど」

って始まって、

最後に、

「孫抱っこするのが怖くなったのが一番嫌で」

って出てくるなら、

もしかしたら、

本当に大きいのは痛みそのものじゃない。

そういうことって、

普通にあると思う。


顧客の言葉には、商品価値の答えが入ってる

前の記事で、

「商品そのものに価値はない」

って書いた。

価値は、

商品だけで決まるんじゃなくて、

その商品によって、

誰の何がどう変わるのか

で生まれると思ってる。

じゃあ、

その「何がどう変わるのか」を、

誰に聞くのが一番いい?

俺は、

やっぱりお客さんだと思う。

こっちが、

「この商品の価値はこれです」

って決めるだけじゃなくて、

実際に使った人が、

何に喜んだのか。

何が変わったのか。

何が想像以上だったのか。

逆に、

何が不安だったのか。

何が最後まで引っかかったのか。

そこに、

次のマーケティングの材料がある。


顧客の言葉を、そのまま広告に貼ればいいわけでもない

ただ、

ここも一個注意したい。

ボイスを取った。

じゃあ、

その言葉を全部そのまま広告コピーにしよう。

って話でもない。

一人の顧客が言ったことが、

市場全体の答えとは限らないから。

俺だったら、

複数のボイスを見る。

同じ言葉が出てないか。

似た場面がないか。

同じ感情がないか。

同じ不安がないか。

同じ「なりたい状態」がないか。

そこを探す。

つまり、

一人の言葉を正解にするんじゃなくて、一次情報から共通点を見つける。

その上で、

訴求にする。

そうすると、

同じような状況にいる人が見た時に、

「これ、俺のことじゃん」

ってなりやすいんじゃないかと思ってる。


数字は「何が起きたか」。ボイスは「なぜ起きたか」のヒントになる

広告なら、

CTRが出る。

CVRが出る。

CPAが出る。

売上も出る。

数字はめちゃくちゃ大事。

俺も数字はかなり見る。

でも、

数字だけだと、

分からないこともある。

CVRが上がった。

なぜ?

この広告だけ反応がいい。

なぜ?

この店舗だけ継続率が高い。

なぜ?

数字を見ると、

何が起きたか

は分かる。

でも、

その背景にいる人が、

何を感じて、

何を期待して、

何を怖がって、

何を決め手にしたのか。

そこは、

人を見ないと分からない。

「ちょっと見てこい」は、本当に見るだけじゃ怒られた

にも近いけど、

数字を見て終わらず、

現実まで見に行く。

顧客のボイスって、

そのためのかなり強い情報だと思ってる。


だからKAYOIには、常時録音を入れた

うちで作ってるKAYOIには、

常時録音の機能を入れてる。

正直、

録音データを保存するのって、

コスト的には軽くない。

データ量も増える。

システムとして考えれば、

保存しない方がラク。

それでも、

俺は残したかった。

それくらい、

現場で実際に交わされた言葉には価値がある

と思ってるから。

あとから、

「お客さん、何て言ってました?」

って聞いて、

人間の記憶と要約だけに頼るんじゃなくて、

必要な時に、

実際の会話へ戻れる。

本人が、

どんな言葉を使ったのか。

どんな順番で話したのか。

どんな感情をどう日本語にしたのか。

そこまで確認できる。

俺にとって常時録音って、

便利機能を増やしたかったわけじゃない。

顧客の一次情報を、会社の中から消したくなかった。

そのための機能なんだよね。


接客が終わった瞬間、顧客の声を捨てるのはもったいない

普通は、

接客が終わる。

予約になった。

ならなかった。

施術した。

会計した。

それでその会話は消えていく。

でも考えたら、

その中には、

めちゃくちゃ大事な情報がある。

何を見て来たのか。

何に悩んでいたのか。

何と比較していたのか。

何が不安だったのか。

何を聞いて安心したのか。

どの言葉で前向きになったのか。

実際に受けて、

何を感じたのか。

これって、

広告にも使える。

商品改善にも使える。

接客改善にも使える。

新人教育にも使える。

AIにも学習させられる。

だったら、

ただ消えていく会話じゃなくて、会社の学習資産として残せないか。

俺はそう考えてる。


顧客の声から、次の顧客へ戻す

理想は、

こういうLOOPだと思ってる。

接客する

顧客の生の声が残る

どんな言葉・感情・悩みがあったかを見る

共通点を見つける

商品・接客・広告へ反映する

また新しい顧客が来る

その反応をまた見る

ずっとこれ。

マーケターが、

机の上で、

「多分お客さんはこう思ってます」

って考え続けるより、

本人たちが実際に何て言ってるかを聞く。

そっちの方が、

俺は圧倒的に強いと思ってる。


お客さんの声を聞くなら、翻訳される前まで戻りたい

スタッフさんから、

顧客の話を聞くことは大事。

アンケートも大事。

数字も大事。

全部見る。

でも、

マーケティングで、

本当にその人に刺さる言葉を探すなら、

できるだけ一次情報まで戻りたい。

スタッフさんが悪いんじゃない。

人は、

誰かに伝える瞬間に、

自然と言葉を変換するから。

だからこそ、

俺は確認したくなる。

その言葉、本当にお客さんが言った?

その人が、

実際に選んだ単語。

実際にした表現。

実際に口にした感情。

そこには、

俺たちが机の上で考えるより、

ずっと強いマーケティングのヒントが入ってると思ってる。

読んでいて、​自社の​状況が​浮かんだなら。

何が​問題か、​まだ​整理できていなくても​大丈夫です。​現在地を​整理する​ところから、​一緒に​考えます。

相談してみる