社員を​増や​したいんじゃない。​社長を​増や​したい。

小林顕人株式会社Hau'oli growth 代表

例えばさ。

10店舗ある会社があったとする。

それぞれの店舗には店長がいる。

スタッフもいる。

毎日お客さんも来ている。

ある日、そのうちの1店舗で売上が落ちた。

社長が店長に聞く。

「最近、売上が落ちてるけど、何が原因だと思う?」

店長は答える。

「ちょっと分からないです……」

そこで社長が、

「店長なんだから、もっと自分で考えてよ!」

って言ったとする。

うん。

言いたいことは分かる。

俺だって、自分で考えられる人は増えてほしい。

でも、ここでちょっと気になることがある。

その店長、判断するために必要な数字を見られる状態なのかな?

例えば、

売上は分かる。

でも、新規のお客さんが何人来ているか分からない。

リピーターが何人いるか分からない。

予約数も分からない。

広告にいくら使っているかも知らない。

利益がどれくらい残っているかも分からない。

もしそんな状態だったら?

いや、

何を根拠に考えればいいの?

ってなるじゃん。笑

俺は、社員を増やすだけじゃなくて、自分で事業を考えられる人を増やしたいと思ってる。

でも、最近はそれって、単純な人材育成だけの話じゃないなと思うんだよね。

人を育てることと、その人が判断できる環境を作ること。

この二つを一緒に進めないと、経営できる人って増えていかないんじゃないかな。

運転を任せたのに、メーターが見えなかったら?

例えば、車の運転。

誰かに、

「この車、運転して目的地まで行ってね」

って任せる。

ハンドルを渡す。

アクセルもブレーキもある。

でも、スピードメーターが見えない。

燃料がどれくらい残っているのかも分からない。

目的地までの道も知らされていない。

そんな状態で、

「安全に、ちゃんと時間どおり到着してね!」

って言われたら?

いや、難しくない?笑

もちろん、運転技術は必要。

判断力も必要。

でも、それだけじゃない。

今どれくらいのスピードなのか。

どこを走っているのか。

目的地まであとどれくらいなのか。

そういう情報も必要じゃん。

会社の仕事も、結構同じだと思う。

判断力を身につけることと、判断材料が揃っていることは別。

なのに、仕事になると、

この二つを混同することがある。

「もっと自分で考えて」

「経営者目線を持って」

「責任感を持って」

もちろん、全部大切。

でも、

本人が知らない情報を、

考える力だけで生み出せるわけじゃない。

だったら、まず確認したい。

この人は、判断するために必要なものを持っているのかな?

って。

売上が悪い。それで、何を見ればいいんだろう?

例えば、整骨院の店舗運営。

売上が落ちている。

これだけでは、原因は分からない。

新規来院が減ったのか。

既存のお客さんの来院頻度が減ったのか。

新規予約は入っているのに、来院につながっていないのか。

来院はしているけど、成約につながっていないのか。

単価が変わったのか。

そもそも予約できる枠が足りていないのか。

いろんな可能性がある。

じゃあ、仮に広告のCPAが悪くなっていたとする。

そこで広告担当者が、

「CPAを改善します!」

って言う。

もちろん、それも必要かもしれない。

でも、店舗全体の売上を改善したいなら、広告の数字だけで判断していいのかな。

広告では予約が取れている。

でも、実際には来院していない。

そんな状態なら、広告の改善とは別に、予約後の流れを確認する必要があるかもしれない。

逆に、広告から来た人がしっかり来院しているのに、売上につながっていないなら、別の場所を見る必要がある。

つまり、

店舗の売上というGoalを持つなら、そのGoalに関係する数字が必要になる。

もちろん、すべての数字を毎日細かく見なきゃいけないわけじゃない。

何を判断したいのかによって、必要な情報は変わる。

でも、その数字が存在するのに本人が見られなかったら?

見ようと思ったら、毎回社長に聞かなきゃいけなかったら?

それって、

本人の判断力以前に、

会社の情報の渡し方に問題があるのかもしれない。

って考えたい。

数字が見られないなら、見られるようにすればいいじゃん

ここが、俺の中では結構大事。

例えば、

ある店長が、

「新規予約が何件入っているのか分からないので、判断できません」

って言ったとする。

そこで、

「だったら自分で調べてよ!」

って言うこともできる。

もちろん、自分で情報を取りに行く姿勢は大切。

でも、それが毎日必要な数字だったら?

毎朝、社長に聞く。

本部に問い合わせる。

別の担当者から資料をもらう。

それを自分でまとめ直す。

こんなことを毎日やっていたら?

いや、

最初から見られるようにした方がよくない?

って思うんだよね。

例えば、予約システムには予約数がある。

広告の管理画面には広告費とCV数がある。

POSには売上がある。

顧客管理システムには来院や利用履歴がある。

それぞれ別の場所に情報が存在している。

だったら、

必要な情報をつなげられないかな。

って考える。

もちろん、システムが違えば簡単につながらない場合もある。

データの定義が違ったり、取得できる範囲が違ったりすることもある。

だから、まず確認する。

どこに情報があるのか。

本当に取得できるのか。

何と何を照合すれば判断できるのか。

足りないデータは何なのか。

そして、必要なら仕組みを作る。

例えば、店長が毎回数字を探し回らなくても、

必要な店舗の状況を一つの画面で確認できるようにする。

それだけで、判断のために使える時間が増える。

前に、

「便利な管理画面のために、入力の仕事を増やしてない?」

って記事を書いた。

あれは、管理画面を作るために現場へ新しい入力作業を増やしてはいけない、という話。

今回も、その考えは同じ。

判断できる人を増やすために、毎日数字を集める仕事まで増やしたいわけじゃない。

むしろ、仕事の中ですでに生まれている情報を、判断する人が使えるようにしたい。

ここに、AIやシステムを使う意味があると思うんだよね。

AIって、こういう時こそ使いたいよね

例えば、店長が自分の店舗について考えたいとする。

売上が落ちている。

新規が減っているのか。

リピートが減っているのか。

それとも客単価が変わっているのか。

必要なデータを一つずつ探して、Excelにまとめて、比較する。

もちろん、それもできるようになった方がいい。

でも、毎日同じデータを集める作業に、ずっと時間を使う必要があるのかな。

って思う。

AIで、

必要な数字を集める。

前月や過去の実績と比較する。

変化が大きいところを整理する。

考えられる原因を、根拠と一緒に示す。

そんなことができたら、かなり便利だよね。

もちろん、実際に動かすには必要なデータへの接続や権限、計算が正しいかの確認が必要。

AIが適当に出した数字で経営判断するわけにはいかない。

でも、信頼できるデータを使える状態なら、

店長は毎日数字を探すことより、

数字を見て、次に何をするか考えること

へ時間を使える。

例えば、AIが、

「今月は新規予約数が減っています。一方、予約から来院への割合には大きな変化がありません」

って整理してくれたら?

店長は、

「じゃあ新規予約が減っている理由を確認しよう」

って考えられる。

そこで、広告担当者に確認してもいい。

地域の競合状況を調べてもいい。

最近の店舗の予約枠を確認してもいい。

もちろん、AIの仮説が正しいとは限らない。

でも、判断材料が揃っていれば、

本人は考えるところから始められる。

AIに経営を全部任せたいわけじゃない。

人が経営判断できるように、AIで情報をつなぎたい。

こっちなんだよね。

ただし、情報が見えるだけでも経営者にはなれない

ここで、もう一つ考えたい。

必要な数字を全部見られるようにした。

AIも使えるようになった。

じゃあ、その人はもう経営できるのかな?

いや、それも違うよね。

例えば、ある店舗の数字を見たら、CPAが高くなっていた。

でも、広告は変更したばかり。

まだ十分なデータがない。

そこで、

「CPAが高いから止めます!」

って判断したら?

それが正しいとは限らない。

数字が見られることと、その数字から適切に判断できることは違う。

だから、育成も必要。

今何が起きているのか。

どこまで分かっているのか。

何が原因として考えられるのか。

何を確認すれば判断できるのか。

いつまで結果を見ればいいのか。

そういう考え方を覚えていく。

最初は、社長や上長と一緒に考えてもいい。

AIに考え方を整理してもらってもいい。

でも、最終的には本人が、

「今は変更せず、ここまで確認します」

って判断できるようになる。

俺は、こういう成長が大事だと思う。

つまり、

情報を与えれば判断力が身につくわけでもないし、判断力だけ育てても必要な情報がなければ使えない。

両方必要なんだよね。

でも、判断できても権限がなければ動けない

さらに、もう一段ある。

例えば、店長が自分で原因を考えられるようになった。

必要な情報も見られる。

AIも使える。

そして、問題を見つけた。

「今の予約枠だと、新規のお客さんを受け入れられる時間が少ない。だから、まずスタッフの配置を調整した方がいいと思います」

ここまで考えられた。

でも、

シフトを変える権限がない。

スタッフを増やす権限もない。

誰に相談すればいいかも決まっていない。

結局、社長に電話する。

「どうしたらいいですか?」

って。

いや、もったいないよね。

だから、俺は権限も大事だと思う。

どこまで本人が判断できるのか。

何なら自分で実行していいのか。

何は事前の確認が必要なのか。

誰へ相談するのか。

そこを決める。

もちろん、売上責任があるからといって、何でも自由に決めていいわけじゃない。

会社として守る品質もある。

予算の制約もある。

法務や顧客への影響もある。

だから、任せる範囲を設計する。

その上で、

判断できる人には、判断して動ける範囲も少しずつ渡していく。

そうしないと、結局すべてが社長待ちになってしまう。

人を育てるだけじゃなく、会社側も成長しなきゃいけない

ここまで考えて、

俺の中で結構大きなことに気づく。

例えば、社員に、

「もっと自分で考えられるようになってほしい」

って思う。

そのために仕事を任せる。

判断基準を教える。

経験を積んでもらう。

もちろん、全部大事。

でも、その人が判断できる範囲が広がってきたのに、

会社の仕組みが何も変わっていなかったら?

必要な数字を見られない。

情報を取得する権限がない。

毎回上長に確認しないと動けない。

それだと、どこかで限界が来る。

つまり、

人が成長するなら、その人が持てる仕事の範囲に合わせて会社の仕組みも成長させなきゃいけない。

ってことなんだよね。

もちろん、会社側が仕組みを作っただけで、本人が勝手に成長するわけでもない。

新しい数字が見られるようになったら、その数字の意味を理解する必要がある。

判断する権限が増えたら、その判断の結果を追う必要がある。

AIに仕事を任せられるようになったら、出てきた結果を正しく確認する必要がある。

だから、

人の成長と仕組みの成長は、

別々じゃなくて、つながっているんだと思う。

例えば、

今までは広告費とCPAしか見ていなかった人が、

予約から来院まで見るようになる。

すると、広告以外の問題にも気づけるようになる。

その次は、売上や利益まで見られるようになる。

そうすると、今まで以上に大きなGoalを持てるようになる。

ただし、見られるだけでは足りないから、

必要な判断力も一緒に育てる。

こうやって、

人が成長することで、見たい情報が増える。

情報が増えることで、今までできなかった判断ができるようになる。

その繰り返しで、任せられる仕事が広がっていく。

俺は、そういう会社にしたいんだよね。

社長がボトルネックにならない会社って、どう作るんだろう

前に、

「全部俺を通してたら、俺が会社のボトルネックになった」

って記事を書いた。

昔の俺は、何でも自分を通していた。

その結果、自分が会社のボトルネックになっていた。

じゃあ、それを解消するためには?

人に任せればいい。

もちろん、それも一つ。

でも、今回考えてみると、

ただ任せるだけでも足りないんだよね。

任せる人が判断できるように育てる。

判断に必要な情報を渡す。

必要なら、AIやシステムで情報をつなげる。

動ける権限を渡す。

そして、結果がどうだったのか確認できるようにする。

そこまでやらないと、

「任せたつもり」

で終わってしまうかもしれない。

例えば、

店長が10人いたとして。

10人全員が、同じことを社長へ聞いていたら?

社長は10人分の判断をしなきゃいけない。

でも、その10人が、

それぞれ必要な情報を持って、

自分の担当する店舗について考えて、

必要な範囲で実行できるようになったら?

社長が判断する仕事は、

もっと重要なところに絞れる。

もちろん、重要な相談や承認は残る。

でも、

一人の経営者が全部を判断する会社から、いろんな場所で経営判断ができる会社へ。

そこに変わっていくと思うんだよね。

全員を社長にしたいわけじゃない。でも、社長になれる人は増やしたい

ここも、ちゃんと分けておきたい。

俺は、全員が経営者にならなきゃいけないとは思ってない。

専門性を磨きたい人もいる。

現場でお客さんと接することが好きな人もいる。

その人にしかできない仕事を極めたい人もいる。

それも素晴らしいこと。

だから、全員を同じ方向に育てる必要はないと思う。

でも、事業を任せられるくらいの力を持った人が増えたら?

会社として、できることが増える。

例えば、店舗を増やしたいと思った時。

物件がある。

資金もある。

スタッフも採用できる。

でも、その店舗を任せられる人がいない。

そんな状態だったら、事業を増やすのは難しいよね。

逆に、

自分でGoalを持てる人がいる。

必要な情報も見られる。

AIや仕組みを活用できる。

判断できる範囲もある。

そして、結果まで追える。

そんな人がいたら?

任せられる事業の規模も変わってくると思う。

もちろん、最初から完璧である必要はない。

小さな判断から始めて、

少しずつ任せる範囲を増やせばいい。

でも、その時に育てるのは本人だけじゃない。

その人が大きなGoalを持てるように、会社側も仕事の仕組みを変えていく。

ここまで含めて人材育成なんだと思う。

そして、いつか本人が自分の会社を作りたいと思ったなら、

それも一つの道。

会社の中で新しい事業を持つのもいい。

どちらにしても、

自分で考えて、判断して、現実を動かせる人になってほしい。

そんな人たちと仕事ができる会社って、

めちゃくちゃ面白いと思うんだよね。

社員を増やしたいんじゃない。社長を増やしたい。

俺が増やしたいのは、

単に社員の人数じゃない。

役職としての店長でもない。

「責任者」という肩書きでもない。

自分が持っているGoalを理解して、必要な判断をし、現実の結果まで責任を持てる人。

そういう人。

でも、今回考えてみて、

それには本人の努力や育成だけじゃ足りないんだと思う。

判断に必要な情報がなければ、まず見られるようにする。

必要な数字が存在しないなら、どう取得するか考える。

別々の場所に情報があるなら、つなげられないか考える。

人間が毎日集めなくてもいい情報なら、AIやシステムを使う。

そして、本人が判断できるようになったら、

必要な範囲で権限も渡す。

そうやって、会社側も変わっていく。

人に経営者目線を求めるなら、経営者目線で考えられる環境も渡したい。

これって、結構大事なことなんじゃないかな。

例えば、

「もっと自分で考えて!」

って言いたくなった時。

俺も一回考えたい。

この人は、本当に考えられないのかな。

それとも、

考えるために必要なものが足りないのかな。

もし後者なら、

それは本人を育てるだけでは解決しない。

会社の仕組みを変える必要がある。

もちろん、情報が揃っていても本人が考えようとしなければ、別の支援が必要。

だから、何でも環境のせいにするつもりもない。

でも、少なくとも、

判断できない理由を、最初から本人の能力だけにしたくない。

そして、

人が一人育つたびに、

その人がもっと大きな仕事を持てる仕組みも育っていく。

そんな会社になれたら、

人数が増える以上に、会社の可能性が広がると思う。

社長が一人で全部考えるんじゃなくて、

それぞれの場所で、Goalを持った人が考えている。

AIも使う。

仕組みも使う。

必要な人と協力する。

それぞれが現実の結果を見て、また次の判断をする。

そんな意味で、俺は社長を増やしたいんだよね。

読んでいて、​自社の​状況が​浮かんだなら。

何が​問題か、​まだ​整理できていなくても​大丈夫です。​現在地を​整理する​ところから、​一緒に​考えます。

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